スポーツハラスメント防止における基本的な対策
以下のような対策を基本とし、活動の特性やチーム規模に合わせた対策を講じることが望ましいでしょう。
①ルールの策定
合理性のあるルールを策定することでメンバー同士や管理監督者との認識の相違を防ぐ。(以下の例は個別事例であり、各メンバーの認識が事前に揃えられるよう各団体のポリシーに合わせたルールを策定する。)
取組例
- 「疲労が蓄積してきたと自認したら歩く、手を抜く事も認める」
※疲労困憊状態での運動強度の高いプレーを禁止することで事故を予防し、他メンバーから怠慢だと誤認され争いになる事を防ぐ。 - 「一生懸命にプレーする事も認める」
※特に勝利を目的としないチームでは、若干熱心にプレーするだけで茶化されたり嫌味を言われるといった事象が考えられるため、一生懸命にプレーする事も善しとする。或いはもし運動強度を抑えてプレーしなければならないとするなら具体的にどの場面でどのようなプレーをすべきなのか規定し、禁止事項を全員で共有する。(例えばサッカーであればスライディング無し、バスケットボールであればシュートブロックの際にジャンプをしない等チームの方針にあった具体的なルールを設ける) - 「野次・嫌味を禁止する」
※スポーツの現場でも一般社会と同様に受け手が不快と感じる言動は許されないこと周知しておくことでトラブルを予防する。
②ハラスメントに対する方針・対応内容の明確化と周知・啓発
チームにおけるハラスメントの内容及びハラスメントを行ってはならない旨、代表者の方針を明確化し、管理監督者を含むメンバーに周知・啓発する。
取組例
- チーム規則等団体のルールを定めた文書に、代表者の方針を規定し、当該規定と併せて、ハラスメントの内容及びスポーツ現場におけるハラスメントの発生の原因や背景等をメンバーに周知・啓発すること。
- チームホームページ等広報又は啓発のための資料等にハラスメントの内容及びスポーツ現場におけるハラスメントの発生の原因や背景並びに代表者の方針を記載し、周知すること。
- スポーツ現場におけるハラスメントの内容及びハラスメントの発生の原因や背景並びに代表者の方針をメンバーに対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
- (妊娠・出産・育児による活動休止等に関するハラスメントへの対応を行う場合)代表者の方針と併せて活動休止ができる旨を周知・啓発すること。
③行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発
ハラスメントを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を、 チーム規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含むメンバーに周知・啓発すること。
取組例
- チーム規則等団体のルールを定めた文書に、ハラスメントに係る言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容をメンバーに周知・啓発すること。
- ハラスメントに係る言動を行った者は現行のチーム規則等団体のルールを定めた文書において定められている懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、それをメンバーに周知・啓発すること。
④相談窓口の設置
相談への対応のための窓口(相談窓口)或いは相談を請け負う担当をあらかじめ定め、メンバーに周知すること。
取組例
- 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
- 相談に対応するための制度を設けること。
- 相談の担当者の知見内では対応が難しい場合外部の機関に指南を仰ぐこと。
⑤ 相談に対する適切な対応
相談窓口担当者が、相談(※)の内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。 相談窓口においては、被害を受けたメンバーが萎縮して相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、 相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、 ハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、 ハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること。
※ 言動を直接受けたメンバーだけでなく、それを把握した周囲のメンバーからの相談も含まれます。
取組例
- 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者とチーム編成権限所持者・人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること。
- 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること。
- 相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行うこと。
⑥事実関係の迅速かつ適切な対応
事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。 (セクシュアルハラスメントの場合には、必要に応じて、他のチーム代表者から事実関係の確認に協力を求めることも含まれます(※)。)
※ 協力を求められた代表者には、これに応じるべく努める必要があります。
取組例
- 相談窓口の担当者、チーム編成権限所持者・人事部門又は専門の委員会等が、相談者及び行為者の双方から事実関係を確認すること。その際、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること。 また、相談者と行為者の間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること。
- 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、既に一般社会で法令化しているルール、例えば労働施策総合推進法第30条の6、男女雇用機会均等法第18条又は育児・介護休業法第52条の5といった法令をベースとした調停の申請を行うことや、その他中立な第三者機関に紛争処理を委ねることも考えること。
⑦被害者に対する適正な配慮の措置の実施
スポーツ現場におけるハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
取組例
- 事案の内容や状況に応じ、以下の対応を行うこと。
(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントの被害者への対応を行う場合) - 事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すためのできる限りの配置転換、行為者の謝罪、被害者の活動条件上の不利益の回復、管理監督者又は チーム内保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。(妊娠・出産・育児による活動休止に関するハラスメントへの対応を行う場合)
- 被害者の職場環境の改善又は迅速な制度等の利用に向けての環境整備、被害者と行為者の 間の関係改善に向けての援助、行為者の謝罪、管理監督者又はチーム内保健スタッフ等に よる被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。
- 既に一般社会で法令化しているルール、例えば労働施策総合推進法第30条の6、男女雇用機会均等法第18条又は育児・介護休業法第52条の5といった法令をベースとした調停や、その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講ずること。
⑧ 行為者に対する適正な措置の実施
ハラスメントが生じた事実が確認できた場合には、速やかに行為者に対する措置を適正に行うこと。
取組例
- チーム規則その他の服務規律等を定めた文書におけるハラスメントに関する規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること。併せて事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪等の措置を講ずること。
- 一般社会で法令化しているルール、例えば労働施策総合推進法第30条の6、男女雇用機会均等法第18条又は育児・介護休業法第52条の5いった法令をベースとした調停や、その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を行為者に対して講ずること。
⑨再発防止対策
再発防止措置の実施改めてハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。
(セクシュアルハラスメントの場合には、必要に応じて、他の代表者に再発防止に向けた措置に協力を求めることも含まれます(※)。) なお、ハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること。
※ 協力を求められた代表者には、これに応じるべく努める必要があります。
取組例
- ハラスメントを行ってはならない旨の代表者の方針、やハラスメントに係る言動を行った者について厳正に対処する旨の方針、さらに妊娠・出産・育児・介護を要する者が活動休止できる旨(妊娠・出産・育児による活動休止等に関するハラスメントの被害者への対応を行う場合)を、チームホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し周知すること。
- メンバーに対してハラスメントに関する意識を啓発するための研修、講習等を改めて実施すること。
⑩プライバシー保護
当事者などのプライバシー保護のための措置の実施と周知ハラスメントに関する相談者・行為者等の情報はその相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又はそのハラスメントに関する事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨をメンバーに対して周知すること。 なお、このプライバシーには、性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含まれること。
取組例
- 相談者・行為者等のプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、そのマニュアルに基づき対応すること。
- 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。
- 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、チームホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、周知すること。
⑪相談、協力等を理由に不利益な取扱いをされない旨の定めと周知・啓発
被害者がハラスメントに関し、被相談者に対して話したことや、事実関係の確認等の代表者等が講ずべき措置に協力したこと、第三者機関に対して相談、紛争解決援助の求め、調停の申請を行ったこと又は裁判所からの調停会議への出頭の求めに応じたこと(以下「ハラスメントの相談等」という。) を理由として、追放・解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を定め、メンバーに周知・啓発すること。
※ チームの職員も対象に含まれ、職員が相談を行ったこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはなりません。
取組例
- チーム規則等団体のルールを定めた文書文書に、メンバーがハラスメントの相談等を理由として、そのメンバーが追放・解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、メンバーに周知・啓発すること。
- チームホームページ等広報又は啓発のための資料等に、メンバーがハラスメントの相談等を理由として、そのメンバーが追放・解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、メンバーに周知すること。
⑫チーム体制の整備など、代表者や妊娠等したメンバー等の実情に応じた必要な措置
妊娠・出産・育児による活動休止等に関するハラスメントの発生の原因や背景となる要因を解消するため、チーム体制の整備など、 代表者や妊娠等したメンバーその他のメンバーの実情に応じ、必要な措置を講ずること。
取組例
- 妊娠等したメンバーが選手であれば活動を休止できること、復帰時も公平にベンチ入り考慮されることを伝え、周囲メンバーのチーム再編成をできる限り偏りなく実施する。
- 妊娠等したメンバーが運営業務を担っていれば、周囲のメンバーへの運営負担の偏りを軽減するよう、適切に運営業務分担の見直しを行うこと。
- 運営業務の点検を行い、効率化などを行うこと。
⑬ メンバー等の参画
チーム上の措置を講じる際に、必要に応じて、メンバーや職員等の参画を得つつ、 アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等を行う。
